主人と姪に捧ぐ

 漠然と喜寿に料理本を出版したいとのかねてからの思いが、2016年12月に主人が亡くなり、弔問のお花に囲まれた主人の写真と会話していた時に、お料理を通して主人の追悼と感謝の本にしたいとの思いに変わり、姪の夫(デザイナー)に相談し、全面的にお任せすることになりました。カメラマンと一度も打ち合わせもせず撮影日が決まり、不安で不安で仕方がありませんでしたが、姪の諭花に「おばちゃまはお料理だけ作ってくだされば大丈夫」と言われ、スタートしました。

 それから春、夏、秋、冬と撮影がすすみ、丁度一年前の今日(2018年2月4日)が“四季のおもてなし”の最終撮影日でした。クリスマスとお正月の料理を一日で撮影するので大変緊張していましたが、スタッフ全員気合が入り、無事終えることができました。

 撮影後原稿がなかなかはかどりませんでしたが、漸く八分通り仕上がった段階で諭花が体調を崩し入院しました。入院中私の原稿を読んでメールをくれましたが、昨年暮れに退院しこれから一緒に頑張ろうと思っていた矢先、2019年1月14日天に召されました。撮影時私には気づかない細かな配慮をし、的確なアドバイスをしてくれた諭花、黙々とクロスのアイロンがけをしていた姿が忘れられません。本の完成を見ずに逝ってしまい本当に残念でなりませんが、娘の様に可愛がっていた主人が、天国で大きな手を広げて諭花を迎え入れたような気がします。二人とも戌年生まれの食いしん坊、どんなおしゃべりをしているのでしょう。