恩師のメッセージ

数年前恩師飯田深雪先生のお写真の額を久しぶりに新しくしようと手に取りましたら、写真の裏に以下の先生のメッセージ が書いてありました。

『人と心から信頼しあい、楽しい交流を持つには、何より家へお招きして、腹蔵なく正直で、虚栄心のないお付き合いをすることです。』

西欧には「お客様を自宅に招いたら、お帰りになるまでずっと愉快に過ごさせる責任がある」と言います。家族全体で快くもてなすことです。主婦はお客様が喜んでくださるような、食卓のセッティングを念入りにし、メニュー作りをされれば最高です。

折々の先生のインタビューで「おもてなしは、お客様がほしいだろうなと思われるものをそろえておだしする。これが基本ですよ。」「心を込めた美味しい料理は、五感をよみがえらせ幸福をよびます。そしてもてなされる側は感謝でいっぱいになるのは、どんな時代でもおなじですね。」とおっしゃっています。

恩師のメッセージは私の料理の原点ともいえます。飯田先生は100 歳を過ぎてもお手紙をお出しすると必ず直筆のお返事をくださいました。

先生からのお教えは主人も全く同じ考えで良く似ていると思うことがありました。私の子ども時代は今の様に豊かな時代ではありませんでしたが、お客様がいらっしゃる前日はお掃除を念入りにし、気持ちよく過ごしていただけるよう心くばりをしていた母の姿をみて育ったこともしあわせでした。

初めての料理本出版ですが、少しでもお料理の楽しさ、旬の美味しさ、おもてなしの喜びをお伝え出来たら嬉しく思います。