ローストビーフ 柚子胡椒添え

ローストビーフ 柚子胡椒添え
[Roast Beef with “Yuzu Kosho”]

近年友人おすすめの調理法で作ったローストビーフを、金継した大好きなお皿に盛り、柚子胡椒を添えてお箸で頂きます。
里の箸置きを我が家で受け継ぎ、“吉”の字を見るたびに父吉之助のことが思い出されます。西郷隆盛の幼名と同じで祖父が好きで名付けたのかと想像しました。

Ingredients(5~6人前)
牛肉(もも、ロース) …… 600g
塩 …… 2g
柚子胡椒 …… 適量

Recipe
1 ペーパータオルにサラダ油をしっかり浸みこませて、常温の牛肉を包む。
2 バットに網を敷いてペーパータオルを除いた牛肉を120℃のオーブンで約40分焼く。途中で上下を返す。
3 肉の表面に塩をする。フライパンで焼き色がつく程度にさっと焼き、とり出しホイルで包み10分間休ませる。薄く切り柚子胡椒を添える。


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焼きたてアップルパイ

焼きたてアップルパイ
[Freshly Baked Apple Pie]

アップルパイはりんごのおいしい秋から冬にかけて作ります。昔は紅玉で作るのが常識でしたが、味は勿論のこと煮崩れせず大変使い勝手が良いので最近は“ふじ”を愛用しています。リンゴがタップリ入ったアップルパイは、わが家の自慢の一品です。午後のお茶でおもてなしする時は、お客様が到着なさる時間に合わせて 焼き上がるように計算し、高温のオーブンにしっかり冷やしておいたパイ生地を入れます。 家中に漂う甘い香りとアツアツのアップルパイはお客様を至福の時間に誘います。りんごを煮た汁にお湯を加えていただくとえも言われぬ美味しいアップルエードになります。近年はタルトやパイ生地を作るのにフードプロセッサーを使用するのが主流ですのでその方法を記載しましたが、パイは練らないことが大切なので、ボロボロの種を我が家の家宝マーブル台に乗せて作業します。

Ingredients(10人前)
[皮]
小麦粉 …… 250g
バター …… 200g
卵黄 …… 1個分
氷水 …… 大さじ5

[中身]
りんご(ふじ) …… 中6個

[A]
砂糖 …… 120g
塩 …… 少々
シナモン …… 小さじ1/2
バター …… 大さじ2
レモン汁 …… 大さじ2
小麦粉 …… 大さじ2

卵黄(ツヤ用) …… 1個

Recipe
1 フードプロセッサーに小麦粉、塩を入れ、7㎜角に切った冷凍したバターを入れ、ガッガッガッと小刻みにかけ大豆粒くらい(細かくなりすぎないよう)になったら、卵黄と氷水を混ぜたものを入れ再びガッガッガッとかけ、ポロポロになった状態で冷やして置いた布巾(目地に強力粉をすりこんでおく)にのせる。
2 布巾の両端をもって三つ折りに畳んで生地をたたき、向きを変えながら15㎝×20㎝四方にのばす。これを6回くりかえす。たねの1/2をパイ皿より大きく丸くのばす。
3 りんごは皮をむき4つ割りにして芯をとり、薄い塩水を通して2㎝角に切り、間口の広い鍋に入れる。A を入れ蓋をして中火にかけ、砂糖が溶けて透明になったら蓋をとり、そのまま水分を蒸発させて火から下ろす。(形が崩れないように、煮ている間はかきまわさず、鍋を時々振り動かす。)バターを所々に落として溶かし、レモン汁を振りしみこませる。
4 ボールの上に平たいザルを置き、3 のリンゴを広げ汁を切る。冷めたリンゴに軽く小麦粉を振りまぶす。
5 2 ののばしたたねをパイ皿にのせ余分を切り落とし、りんごをきっちり詰める。卵白をふちに塗りもう一枚のたねをのせて、パイ皮をつぶさないように密着させる。
6 冷蔵庫でしっかり冷やしてから(最低2時間)全体に卵黄を刷毛で塗り、あらかじめ温めておいたオーブン(250℃)に入れ、美しい色がつくまで焼き、次第に火を弱めて焼き上げる。40分~1時間。

新蓮とじゅんさいのゼリー寄せ

新蓮とじゅんさいのゼリー寄せ
[ Young Lotus & “Junnsai” (watershield) in a Jelly Pond]

夏らしい涼やかなゼリーを作りたいと思い、行きつけのスーパーマーケットに行きました。ゆっくり端から見ていくと、普段は気が付かない食材*シーアスパラガスに出会いました。これに走りの芽蓮根(新蓮)とじゅんさいを合わせました。
シーアスパラガスを試食すると、塩分が強くびっくりしましたが、シーは海のSEA だと納得しました。そのためコンソメも芽蓮根も塩を控えて作りました。

*シーアスパラガス 別名「厚岸草」。海水で育ち、生で食べることもできます。日本では絶滅危惧種になっているので、輸入物が手に入ります。

Ingredients(6人前・トヨ型1コ分 8.5㎝×25㎝×5㎝)
芽蓮根 …… 100g
コンソメ …… 600㏄
板ゼラチン …… 15g
じゅんさい …… 50g
塩 …… 小さじ1 紫玉ねぎ(小) 2個

Recipe
1 板ゼラチンを氷水につけふやかす。
2 芽蓮根の皮を剥き、薄切りにし酢水に漬けて茹でる。少量のコンソメで歯ごたえ良く煮る。
3 じゅんさいをざるにとる。湯をかけて水で洗いコンソメに漬ける。
4 シーアスパラガスの塩味をたしかめる。
5 鍋にコンソメを入れ温め、柔らかくなった板ゼラチンを加え溶かし混ぜる。
6 氷水を入れたバットにトヨ型を入れ冷やしておく。5 から50㏄をとりトヨ型に注ぎシーアスパラ ガスを丁寧に並べる。覆う程度に 5 を注ぎ、冷えて固まり始めたらじゅんさいを均等に入れ同じよ うに 5 を注ぎ、固まり始めたら 2 を並べる。残りの 5 を型全体に流し冷やし固める。
7 冷やした器に 6 をかえし紫玉ねぎの薄切りを周りに飾る。

Point!
シーアスパラガスの代わりにブロッコリースプラウト又は大葉の千切りを使用しても良い。 板ゼラチンをふやかす時、氷水に入れると良い。(間違って捨てないため)

牡蠣の湯引き 香味ソースかけ

牡蠣の湯引き 香味ソースかけ
[ Slightly Boiled Fresh Oysters Served with Spicy Exotic Sauce ]

私は辰巳芳子先生が古希の時に立ち上げた『良い食材を伝える会』の会員ですが、初めての研修旅行は仙台でした。懇親会で記念講演をなさったのは、気仙沼で牡蠣養殖を営む漁師の畠山重篤さんでした。「美味しい牡蠣を育てるためには海が豊かでなければならない。海が豊かであるためには川が澄んでいなければならない。川が澄むためには山が豊かでなければならない」と話された真摯なスピーチがつい昨日のことのように思い出されます。その理念のもとに、気仙沼湾の環境改善を目指して大川上流の山に植林する運動もしていらっしゃいます。畠山さんが1994 年に上梓なさった著書「森は海の恋人」に大変感銘を受けました。
畠山さんは、その後東日本大震災で多大な打撃を受けましたが、不屈の精神で見事に立ち直り、2012 年国連が森を守る独創的な活動をしている人を顕彰する“フォレスト・ヒーローズ”に選ばれました。「海は森の恋人、森は海の恋人」の訳を皇后さまにご相談して、「The sea is longing for the forest. The forest is longing for the sea.」に決まり、国連での記念講演でスタンディングオベーションが沸き起こったそうです。旧約聖書の詩編に出てくる表現であることがわかり、この言葉がキリスト教国の人々に直接響いたからだと畠山氏は考えていると、「良い食材を伝える会ニュースレターNo. 88」に記されています。

Ingredients(5〜6人前)
牡蠣 …… 500g
水菜 …… 1把
ねぎ …… 1本
生姜 …… 1片

[香味ソース]
中華スープ …… 大さじ3
紹興酒 …… 大さじ2
醤油 …… 大さじ3
たまり醤油 …… 大さじ1/5
唐辛子粉 …… 少量
胡椒 …… 少々
ごま油 …… 大さじ2

Recipe
1 牡蠣は、塩と片栗粉をまぶして水でそっと揉み洗いし、しっかり汚れを落として水気をとる。
2 鍋に湯を沸かし、1 を入れ身がふっくらして来たら取り出し、氷水にさっと浸けて熱を取り、ザルに上げて水を切る。
3 生姜は千切りにして水に放し、ザルに上げて水を切る。
4 水菜は洗って長さ4~5㎝に切り、大皿に生姜と盛り牡蠣をのせ、香味ソースを回しかける。
5 ねぎは白髪に切って牡蠣の上に盛り、食べる直前にアツアツに熱したごま油をかけて全体をよく混ぜ合わせる。

Point!
牡蠣が大好きで、オイル漬け、醤油煮などはシーズン中に必ず作る常備菜です。重要なポイントは、牡蠣をよく空煎りすること。驚くほど出る水分をしっかり飛ばすことで生臭みが消えるだけでなく味も入り易くなります。牡蠣フライを美味しく作るには、コロッとした同じ大きさに整えてから衣をつけて揚げます。こうすれば熱が均等に通るという道理です。素揚げにし、天つゆと大根おろしでさっと煮るのも捨てがたい美味しさです。

ステーキと春野菜のマスタード和え

ステーキと春野菜のマスタード和え
[ Sliced Beef with Spring Vegetables Flavored with Mustard Sauce]

出盛りの新ごぼう、新人参、山独活を見ると、つい買いたくなり薄味の和風出汁で煮ておきます。今回はアスパラガスにしましたが、いんげんや旬の豆類も合います。ステーキと定番の付け合わせという固定観念から飛躍して、沢山の野菜を一緒にとれ、冷めてもおいしくお箸でいただくお料理を考えました、大勢の集まり、ポトラック(持ち寄り)パーティーにもおすすめです。マスタードに和辛子の辛さを少量加え、醤油でアクセントをつけました。

Ingredients(6人前)
ステーキ用牛肉(1.5cm厚さ)…… 400g
新人参 …… 200g
新ごぼう …… 200g
アスパラガス …… 5本
A
出汁 …… 300cc
薄口醤油 …… 大さじ1
みりん …… 大さじ1
塩 …… 少々
B
マスタード …… 大さじ3
和辛子 …… 小さじ1/ 2〜小さじ1
醤油 …… 大さじ2
C
オリーブ油 …… 適量

Recipe
1 牛肉を冷蔵庫から出し常温にしておく。
2 ごぼう、人参を斜め4cm位に回し切り、A で少し歯ごたえがあるぐらいに煮て冷ましておく。 3 アスパラガスは固いところを除き塩茹でし、ざるにとって冷まし半分に切る。 4 ステーキ用フライパンを温め牛肉を強火で両面レアに焼き、バットの上に置いた網の上にのせル ポゼ(休ませる)する。肉汁が落ち着いたら1cm幅に切る。
5 バットに落ちた肉汁と B を合わせステーキを絡ませ、煮た野菜を合わせて器に盛りオリーブ油を かける

Point!
*出汁の取り方 鍋に1lの水に昆布20gを入れ暫くおき、中火にかけて灰汁を取り、煮立つ直前に味を確かめ昆布をとり出 す。水大さじ1杯を加え温度を下げ、鰹節20gを入れて火を止める。鰹節が沈んだら漉し器で漉す。
*簡単な方法 水1l、昆布20g、鰹節20gを容器に入れ一晩冷蔵庫に入れ漉す。