牡蠣の湯引き 香味ソースかけ

牡蠣の湯引き 香味ソースかけ
[ Slightly Boiled Fresh Oysters Served with Spicy Exotic Sauce ]

私は辰巳芳子先生が古希の時に立ち上げた『良い食材を伝える会』の会員ですが、初めての研修旅行は仙台でした。懇親会で記念講演をなさったのは、気仙沼で牡蠣養殖を営む漁師の畠山重篤さんでした。「美味しい牡蠣を育てるためには海が豊かでなければならない。海が豊かであるためには川が澄んでいなければならない。川が澄むためには山が豊かでなければならない」と話された真摯なスピーチがつい昨日のことのように思い出されます。その理念のもとに、気仙沼湾の環境改善を目指して大川上流の山に植林する運動もしていらっしゃいます。畠山さんが1994 年に上梓なさった著書「森は海の恋人」に大変感銘を受けました。
畠山さんは、その後東日本大震災で多大な打撃を受けましたが、不屈の精神で見事に立ち直り、2012 年国連が森を守る独創的な活動をしている人を顕彰する“フォレスト・ヒーローズ”に選ばれました。「海は森の恋人、森は海の恋人」の訳を皇后さまにご相談して、「The sea is longing for the forest. The forest is longing for the sea.」に決まり、国連での記念講演でスタンディングオベーションが沸き起こったそうです。旧約聖書の詩編に出てくる表現であることがわかり、この言葉がキリスト教国の人々に直接響いたからだと畠山氏は考えていると、「良い食材を伝える会ニュースレターNo. 88」に記されています。

Ingredients(5〜6人前)
牡蠣 …… 500g
水菜 …… 1把
ねぎ …… 1本
生姜 …… 1片

[香味ソース]
中華スープ …… 大さじ3
紹興酒 …… 大さじ2
醤油 …… 大さじ3
たまり醤油 …… 大さじ1/5
唐辛子粉 …… 少量
胡椒 …… 少々
ごま油 …… 大さじ2

Recipe
1 牡蠣は、塩と片栗粉をまぶして水でそっと揉み洗いし、しっかり汚れを落として水気をとる。
2 鍋に湯を沸かし、1 を入れ身がふっくらして来たら取り出し、氷水にさっと浸けて熱を取り、ザルに上げて水を切る。
3 生姜は千切りにして水に放し、ザルに上げて水を切る。
4 水菜は洗って長さ4~5㎝に切り、大皿に生姜と盛り牡蠣をのせ、香味ソースを回しかける。
5 ねぎは白髪に切って牡蠣の上に盛り、食べる直前にアツアツに熱したごま油をかけて全体をよく混ぜ合わせる。

Point!
牡蠣が大好きで、オイル漬け、醤油煮などはシーズン中に必ず作る常備菜です。重要なポイントは、牡蠣をよく空煎りすること。驚くほど出る水分をしっかり飛ばすことで生臭みが消えるだけでなく味も入り易くなります。牡蠣フライを美味しく作るには、コロッとした同じ大きさに整えてから衣をつけて揚げます。こうすれば熱が均等に通るという道理です。素揚げにし、天つゆと大根おろしでさっと煮るのも捨てがたい美味しさです。